【カメルーン通信No.20】
~仁義なきカメラの戦い~
私はカメルーンに小さなデジタルカメラと、一眼レフのカメラの2つを持ってきました。ある日、手が滑ってデジタルカメラの方を落としてしまい液晶が割れてしまいました。使うには支障はありませんでしたが、撮影するときに液晶の半分は見えませんでした。それを見た知り合いのカメルーン人が「タイガーという所なら直してくれるぞ、そんなに高くないし」と。まあ不便だし高くないのならいいかと軽い気持ちで持っていくことにしました。これが悲劇を生みました。
持って行った当初は3日でできる。1万フラン(2千円ぐらい)と言われました。ちょっと高いなと思いましたがこれから必要だし、しょうがないかと頼みました。3日後受け取りに行くと「まだだ」と。理由を尋ねると部品が見つからず予想以上に時間が掛かっているのだと。「まあ直してくれるならいいよ」と思い2、3週間後にまた来るからと言い任地に帰りました。
3週間後受け取りにいくと「まだだ」と。理由は同じ。「じゃあいつならできるんだ?」「来週だ」「明日村に帰らなきゃいけないんだ、だから次来た時には受け取れるようにしてくれ」「わかった」それを信じ任地に帰りました。必要な時は一眼を使えばいいので、すごく困ったという事はありませんでしたが、小さいデジカメは重宝するので早く受け取りたかったです。
そして首都に行く機会があり、もうさすがにできているだろうと思い行くと「まだだ」「何で?」「難しい修理だからだ」「3日て言ったやん」「、、、」「いつならできる?」「来週」「(またか)、、」「できたら電話する」。この「電話する」もカメルーン人の常套手段です。自分の立場が悪くなると今の状況だけを切り抜けるためにこう言います。今さえ何とかすればいいと考える人が多く、この修理屋の人もこのタイプでした。しかし、できていないものはできていない。待つしかありませんでした。
それから首都に上がる度に行きましたが「怪我をしたんだ」「旅行に行っていたんだ」「今知り合いに頼んでいる」「ここ、ここのこの部品がないんだ」「待ってくれ、できたら電話する」正直途中からカメラはどうでもよくなってきました。意地です。
そして6か月後。3日と言っていたので約60倍の時間が掛かりましたが、できたと得意げに見せてきました。試し撮りも問題なさそうで帰ろうとすると「もう1万フラン、合計2万だ」と言ってきました。ふざけるなよと思いましたが「領収書を見ろ」と言われ見ると先払い1万、受け取り時1万と書いていました。私の見落とし。しかし、はめられたような気分。もう争うのも疲れ支払い帰りました。何はともあれ直った、と。しかし帰宅後に試し撮りをし、保存された写真を見てみると、、画質が低下どころの話ではありません。カメラ屋ではSDカードを持っていなかったので気づきませんでした。撮影時は問題ありませんが、保存した時の写真は無残でした。
修理に出す前です。
こうなりました。わかりにくいですが全体が波のように歪んでいます。
即刻文句を言いに行き、再修理をお願いし、最終的に最初お願いしてから約10か月後受け取ることができました。しかし、カメラはほとんど原型を留めていませんでした。色はグリーンだったのにブラックになり、操作性も変わっており、毎回日付設定を促され、なぜかバッテリーもほぼ新品の状態だったのに明らかに、汚く劣化しているものと交換されていました。
ほぼ新品が中古になり返ってきました。
文句を言うと、机の下の紙を指さし「SDカードやバッテリー等の部品は保証しない」。つまり、SDカード、バッテリーは無くなるかもしれないので各自保管しておけということ。画質は劣化していましたが幾分マシになり、正直もう疲れたのであきらめて帰ろうとすると、「待て、すごく時間を掛けて部品も探したんだ。もう5千フラン寄越せ」流石に我慢できず「最初3日て言ったやんけ!部品探して修理がお前らの仕事やろ!何で部品探したのがオプションみたいになってんねん!それが仕事やろ!何で時間を掛けられてこっちは困ったのに5千払わなあかんねん!」と言うと黙り、最後まで後味悪く去りました。
これが1眼レフでなかったのが不幸中の幸いです。ただ、これのおかげで教訓も得ました。カメルーンで電化製品を修理に出してはいけない。日本では考えられないことが起きる。という事です。